別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
「じゃあ家まで送ってく」

「だ、大丈夫です」

「凛子ちゃん、あれから俺のこと避けてるよね?」

苦笑いを見せる岬オーナーと目が合う。

「す、すみません」

普通にしているつもりでいたが、態度にあからさまに出てしまっていたらしい。

「変に気を遣わせてしまってごめん。少し話せないか?」

「分かりました」

さすがに断れなかった。身支度を整えて岬オーナーと一緒に店を出た。

「今日は星がとっても綺麗だな」

「そうですね」

自宅までの道のりを岬オーナーと並んで歩く。しばらく他愛もない話をしていたが、実家近くの公園前、突然岬オーナーが足を止めたことに自然と隣に視線が流れた。

「困らせてばかりでごめん。でも。俺は凛子ちゃんのこと本気で好きだから」

「気持ちは嬉しいんですが……その」

「付き合ってる人がいるとか?」

「いえ。そういうわけではないです」

「だったら、俺とのことを前向きに考えてくれない?」

街灯に映し出された顔はとっても真剣。スッと岬オーナーの綺麗な指先が頬に伸びてきて、反射的に距離を空けようと後ずさりしようとしたそのとき。
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