別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
「凛子!」
聞き覚えがある声が前方から届いて、トクンッと心音が跳ねた。顔を見なくても誰の声か分かる。
渚さんの声だ。
「如月さん?」
渚さんの存在に気づき、岬オーナーが大きく目を見開く。
「岬さんお久しぶりです」
渚さんが軽く会釈をしてこちらへと足を進めてきた。じーっと交わるふたつの視線。その間に挟まれて正直どうしたらいいのか分からなくて、交互にふたりを見る。
「凛子になにか用ですか?」
渚さんが少し強い口調で岬オーナーにそう尋ねると同時に、グッと私の手を引いて自分の胸へと引き寄せた。
「凛子ちゃんのことが好きだから気持ちを伝えていただけですよ」
「そういうちょっかいやめてもらえませんか? 凛子も湊斗も俺の大事な家族ですから」
シングルマザーになって三年。生活も軌道に乗り出したここ最近。そんなときに人生初のモテ期到来らしいが、このタイミングで渚さんと出くわしてしまったのは非常に気まずい。
たぶん、全部渚さんに岬オーナーとのやり取りを聞かれてしまっているに違いない。
聞き覚えがある声が前方から届いて、トクンッと心音が跳ねた。顔を見なくても誰の声か分かる。
渚さんの声だ。
「如月さん?」
渚さんの存在に気づき、岬オーナーが大きく目を見開く。
「岬さんお久しぶりです」
渚さんが軽く会釈をしてこちらへと足を進めてきた。じーっと交わるふたつの視線。その間に挟まれて正直どうしたらいいのか分からなくて、交互にふたりを見る。
「凛子になにか用ですか?」
渚さんが少し強い口調で岬オーナーにそう尋ねると同時に、グッと私の手を引いて自分の胸へと引き寄せた。
「凛子ちゃんのことが好きだから気持ちを伝えていただけですよ」
「そういうちょっかいやめてもらえませんか? 凛子も湊斗も俺の大事な家族ですから」
シングルマザーになって三年。生活も軌道に乗り出したここ最近。そんなときに人生初のモテ期到来らしいが、このタイミングで渚さんと出くわしてしまったのは非常に気まずい。
たぶん、全部渚さんに岬オーナーとのやり取りを聞かれてしまっているに違いない。