別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
「この三年の空白を簡単に埋めることができないのは分かっている。それでもこれからの人生を三人で歩み、幸せにしたい。ふたりへの想いはもう止められない」

「渚さん……」

「もう遠慮はしない。全身全霊で俺の想いを伝えていく」

真剣なまなざしが降ってきて、スッと私の頬を撫でそのまま唇を塞いだ。

「凛子、愛してる」

そう囁きながら、何度も唇に落とされる甘く情熱なキスにあの頃の思い出が蘇っていく。

三年ぶりに触れあった温もりに心が紅潮していき、私の中の理性と拒絶の壁は、砂時計の中のさらさらとした砂のように崩れていくのが分かった。

ずっと心の奥底にあったその感情。

忘れてなどいない。
忘れられるはずがない。

私も同じだ。これからの人生を三人で歩みたい。
認めるのが怖かったその想い。

だけど再び彼の温もりに触れてしまった今、溢れ出す欲望をもう止められそうにない。
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