死りとりゲーム2-死り神さまの逆襲-


「…祐美?」


「う、ううっ」


立ち上がろうとするけど、足に力が入らない。


それどころか、どんどん意識が遠ざかっていく。


【う】から始まるもの。


職員室まで行けば『ウーロン茶』があるし、音楽室には『ウクレレ』だってある。


先生用のトイレには『ウォシュレット』がついてあたるし、簡単なものなら『腕時計』だって…。


それなのに、探すことができない。


荒い呼吸が邪魔して喋ることもできなかった。


「無理するな」


優しく励ましてくれる祐希に、答えることすらできないんだ。


早くしないと死り神がやってくる。


せっかく祐希が【り】をクリアしたのに、私が失敗すれば死り神が殺しにくる!


そうすれば、祐希は私を守ろうと返り討ちにするはず。


それだけはさせたくない。


させたくないのに…。


次に私の耳に飛び込んできたのは、無情な知らせだった。


『タイムオーバーです!』


「…ごめ、ん」


『三上祐美、失格!』


「こっちで寝てろ」


祐希に抱えられ、教室の隅っこに寝かされた。


それと同時に辺りが暗闇に包まれる。


「ゆ、祐くん…」


「なにも心配するな」


声だけがする。


「俺が守るから」


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