死りとりゲーム2-死り神さまの逆襲-
「あっ、そうだ」
教室の前に歩み出る愛海が、振り返った。
「氷、とか言ったら怒るよね?」
「氷!?」
思わず声が険しくなる。
【こ】から始まるもので『氷』だという。どこか冷蔵庫を探せば見つかるかもしれない。
また【り】で終わらせるつもり!?
「そんな怖い顔しないでよ。冗談だって、冗談!」
そう言って笑うけど、とても冗談には聞こえなかった。
でももう愛海は【こ】から始まるものを見つけてあるという。
「私が見つけたのは、これ!」
バンっ!と『黒板』を叩く。
えっ、それはダメなんじゃ…?
私の心配は的中した。
「こくばん!」
「ちょっと愛海、それじゃ【ん】がつくよ」
「あっ、ミスった!」
わざとらしく舌を出す。
『松田愛海、失格!』
言い直す暇もなく、失格が告げられる。
けれど愛海は驚くでもなく、悲壮感も感じられない。
それどころか、目が鋭くなった気が__。
いつものように辺りが暗闇に包まれても、愛海が騒ぎ立てることはなかった。
その時、私は気づいたんだ。
愛海はわざと失敗した。
でも一体、どうして?