死りとりゲーム2-死り神さまの逆襲-
「と」
視線を外すとスピーカーのほうを見上げ、また私を見る。
なにか伝えようとしてるの?
【と】のつくものなんて、いくらでもあるんじゃ?
私が首を傾げていると、またスピーカーのほうを見た。
いや違う。
スピーカーじゃない。
壁の掛け時計を見てるんだ。
『とけい』を選ぶって私に言いたいんじゃないのか?
それはどうしてか?
次の言葉が【い】で始まることを私に伝えて、少しでも考える時間をくれようと…。
私は祐希に向かって頷いた。
するとすぐに「時計」と言って、壁の掛け時計を指差す。
『クリアです!』
最後は私だ。
祐希が考える時間をくれたことで、すぐに「椅子!」と答えることができた。
『クリアです!』
「よし」
思わず声が出る。
『全員クリアです!おめでとうございます!』
予定していた言葉ではなかったけど、無事に全員がクリアすることができたんだ。
「ありがとう」
私は祐希にお礼を言った。
「俺はなんもしてないよ」
ぶっきらぼうに言うけど、私にはちゃんと分かる。
そんなかつての幼なじみの気遣いが、とても嬉しかった。