無名ファイル1
パンケーキを食べ終えたエミリアは、
淑やかに帰り支度を整えた。
やっぱりお嬢様だ…教養のある仕草。
「エミリアは…私を勘違いしてるよ」
「魅香、そんな難しい顔をしないで?
困らせたいわけではないのデース!」
やっと言葉を口から絞り出すと、
それを察したエミリアが優しく微笑む。
…首を絞められたような気分になった。
「この紅茶、喉に良いと話題デス!!
魅香に喉を早く治してほしいデース!」
カフェを出ると購入していた茶葉を、
私にキラキラ笑顔で渡してくれた。
この気遣いが人気の理由なんだろうな。
「…今日はお開きに致しましょう、
魅香、とても楽しかったデース!!」
「うん、誘ってくれて嬉しかった、
私も楽しかった…紅茶もありがと!」
エミリアはふふっと笑って私の手を、
包み込む様に握りしめた…。
「魅香、ワタクシはどんなときでも、
貴方の一番の味方でいたいデス。
…私の気持ちデス、返事は待ちます。」
彼女はいつになく真剣に私を見つめた。
「エミリア…」
私がかける言葉に迷っていると、
彼女は既にいつもの笑顔に戻っていた。
「では、また明日!!」