無名ファイル1

ドアの前には花柄のワンピースを着た、

綺麗で上品な女性が立っていた…。

「百合ネェ…どうして」

「やっほぉ~魅香、元気ぃ??
さっきクッキーを作ってるときに、
魅香ちゃんが暗ーい顔して帰ってきて、
心配になったのよぉ、だーかーらぁっ!
はい、特製クッキーのお裾分けよっ♪」

籠の上の白い布を捲って見せてくれる。

中には色々な形の可愛らしいクッキー。

「ひっぐ…っ、百合ネェェェッ!!」

「あぁんっ、もぉ~…魅香ったらぁ。」

私が突進して抱き着くとやれやれと、

笑ってあやすように抱きしめ返した。

百合ネェは従姉妹の…いわゆるオネエ。

昔から私の一番の相談相手で味方。

今は私の家の正面に住んでいる。

「ふぅん、なるほど…な”ァ??」

百合ネェは私から事の顛末を聞くと、

勢いよくソファーから立ち上がった。

「まず俺がサドとかいうクソガキを、
ブッ潰す!!…魅香は待ってろォ。」

ボキボキと指の関節を鳴らす百合ネェ。

すんごい低い声でドス黒いオーラが…。

せっかく可愛い恰好してるのに!!

「ちょっ、ダメ!暴力は!!」

実は百合ネェ、元ヤンで喧嘩は最強だ。
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