無名ファイル1
『キーンコーンカーンコーン』
私はサドがこの学校の教師になって、
他の生徒と密接に関わることを避けた。
あの男の目に留まると厄介だから。
あの男をでっち上げる証拠は揃ってる。
後は…突き出すだけなんだけど…。
『サド先生、ピアノ弾いてよ~!』
『私も聴きたーい!!』
まぁ、女子に囲まれまくってるんだ。
私や周りに危害が無いならいいけど、
確証が無いうちは危険だしな…。
『キーンコーンカーンコーン』
「はっ!!あ?」
文字の羅列で埋め尽くされた黒板…。
穢れのない真っ白なノート。
「寝てた…?」
「いや、あなたずっと起きてたわよ。
というか、ずっとボーっとしてた。
どうしたのよ。魅香も…エミリアも。」
麗菜が丸めたノートで私の頭を叩く。
ポコンと軽い音がした…。
「うーん…あ、ノートありがと」
「無理に話せとは言わないけど、
相談はして頂戴よ…心配だから。」
普段は授業が終わってすぐ私達の所に、
飛んできたエミリアは自席を離れない。
私との距離を測りかねているんだろう。
「…うん、困ったときは相談する」
相談せずに済むことを切に願う。