無名ファイル1
「…って感じかな、昔の話終わり!」
「思いの外、あの教師が狂ってたな。
…何?サラッと流したけど鞭って。」
傷は?残ってないか?と少し、
不機嫌そうに心配する蛍…可愛い。
「ふふっ、大丈夫。残ってないよ!
あ~、直接目で見て確認するぅ?」
「い、いや!いい!!分かった!!
…おちょくるなよ、意地が悪いな…。」
少し赤くなった顔を手の甲で押さえて、
ジトォッと私を見る蛍…きゅーんっ!!
「歌はさ…二人で作るのはどう?」
「魅香がいいなら…劇のラストだし、
二人で歌うのもありかなと思った。」
眼鏡をかけながら爽やかに笑う蛍。
うっ、かっこよっ…!!!
「うん、やっぱり二人の物語だし、
一緒に歌わないと違和感あるよね…」
「まぁ、今回の歌は文化祭限りの、
プレミアだな。特別感あるだろう?」
文化祭では人気な店と公演に、
賞が授与される。例年はどちらも、
三年生が独占だが…うちのクラスも、
公演部門優秀賞目指して団結中。
「特技は活用しないとね…」
若さは確かにブランド。それ以前に、
二人は歌手とアイドルというブランド。
単なる若さよりも断然に…。