無名ファイル1

「お化け屋敷苦手なの知ってるよね?
ねぇぇぇっ!!もう、やだぁ!!」

「あの雰囲気は断れなかっただろ?」

蛍と繋いだ手に汗が噴き出す…。

「も、手…離さないでね!?
汗はもう仕方ないからァァァッ!?」

後ろからポンと肩を叩かれ、

心臓が悲鳴を上げる…いや、口か?

もうビビり散らかす私を見て、

仕掛け人はみんな笑ってるんだ。

「もっ、無理…怖すぎる…」

「ただの暗い教室だ、大丈夫だって。」

分かってるよ!理解してる!頭では!!

「ひぅっ…無理、怖いぃっ!!」

「はいはい、コワクナイヨー。」

わしゃわしゃと私の頭を撫でる蛍。

うー!!馬鹿にされてるッ!!!

「あ!出口!!明かりが見えた!」

「あっ、ちょっ!」

私は蛍から離れると光に向かって、

小走りで向かっていった。

『ウォォォォッ!!』

「ピャァァアッ!!!」

出口直前、ゾンビに模した人が、

襲い掛かると私は腰を抜かした。

「ふはっ、あんなッ初歩的な…。」

プククッと肩を震わせる蛍。

「もう!そんな笑わなくても!!」

近くの椅子に腰かけて猛抗議。

だって…出口で驚かされるとは…。
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