無名ファイル1
26日…携帯で今日の天気を確認し、
私は姿見鏡の前でクルンと回る。
天気は良いし、気温も寒すぎない。
絶好のテーマパーク日和だ。
「…ん?」
『ごめん、今日は行けなくなった。』
チャットに簡潔で冷たい文面。
…急にどうしたんだろう。
昨日もパークの話してたのに…。
『大丈夫?なにかあったの?』
チャットをしても既読もつかない。
どうしたのかな…なにか怒らせた?
どうしたらいいのか分からなくて、
居ても立っても居られなくて。
『プルルルッ…プルルルッ…』
『もしもし、魅香さん!!
ごめんなさい、お兄ちゃん珍しく、
風邪をひいてしまったみたいで…。
今日デートだったんですよね?』
「…え、風邪?」
私が電話をかけたのは蛍の妹、
華美ちゃんだ…が、風邪だと…?
「初耳なんですが…」
『えぇー…お兄ちゃん…馬鹿。』
華美ちゃんの重たい溜息を、
電話越しに聞いた…。
「あの…もしよければ、
お見舞いに行っても良い?」
『勿論、お兄ちゃんの驚かせて、
ひと汗かかせてやりましょう。
きっと熱も下がりますから!』
夕方に訪ねると告げ、電話を切った。