無名ファイル1
「んぅ…ん…?」
布団の中でもぞもぞと寝返りを打ち、
薄っすらと目を開けた蛍…。
寝ぼけ眼を擦る蛍は子供みたいに幼い。
「…みか?」
「そうだよ、おはよー」
蛍のベッドの近くに座っていた私は、
お暇しようと立ち上がろうとした。
「ね、待って…帰るの?」
私の手首を力なく掴む蛍…。
熱に浮かされ目元は潤んでいて、
小さい子供のよう…。
「ん”ッ!!…じゃ、少しだけ。」
「んふ…。」
満足そうに笑ってまた目を閉じた。
「ふふ、熱が下がって正気に戻ったら、
恥ずかしがりますよ、こんな甘えて。」
私の手にすり寄る蛍を写真に納め、
にこっと微笑む華美ちゃん…ドSだ。
「華美ちゃん、その写真送って!」
「いいですよー♪」
しかし、本当に熱い…心配になる。
「じゃあ、私これから塾なので、
魅香さんはごゆっくりどうぞ~!」
「えっ、ちょ!!」
華美ちゃんに置いて行かれてしまい、
途方に暮れ、仕方なく座り直した。
苦しそうに浅い呼吸を繰り返す蛍…。
首筋を汗が流れ落ちた…。
「…んー、みか…」
「えッ?何?どうかした?」
ボーッとしている蛍。