無名ファイル1
「ほら、私の狭いベッドよりも、
お兄ちゃんのベッドの方が良いよ!
でももし魅香さんに変な事をしたら…」
華美ちゃんが何を言っているのかは、
私の場所からでは分からなかったけど、
蛍は明らかに嫌そうな顔…。
「じゃ、魅香さん!おやすみなさい♡」
華美ちゃんは軽やかな足取りで、
自室へ戻って行った。
「…はぁ、おいで…早く寝よう。」
「あ…うん」
手を差し伸べられる…掴むと、
ポカポカ温かい…これ相当眠いんだな。
「ベッドの奥に寝てくれ…万一にも、
魅香をベッドから突き落としたら、
俺は迷わず高層ビルから飛び降りる。」
「今の一瞬で私への強い愛を感じる。
分かった…奥で寝るね、ありがと!」
ベッドに片膝をつくと、腕を引かれた。
「寝る前に…クリスマスに渡し損ねた、
プレゼントを今日渡そうと思ってた。
…のを華美に言われるまで忘れてた。
その…浮かれてるみたいだ…。」
「あ!私も持ってきたんだけど、
リビングのバッグの中!取ってくる!!
…私も浮かれてるよ、今日ずっと。」
私は蛍の部屋を出てリビングへ。
火照った頬を両手で包み込んで、
階段を下りた…。