無名ファイル1
朝…カーテンの隙間から差し込む光で、
目を覚ました私は驚愕した…。
ほんの数㎝先に蛍の綺麗な顔。
蛍を突き飛ばして自分がベッドから、
転がり落ちてしまうところだった。
完全に蛍に抱きしめられて身動きが、
全くできなかったのである。
絶対に湯たんぽだと思われてる…。
この間のホテルでは私より先に、
蛍が起きていたもんな…なんか新鮮。
「蛍、朝ですよ~」
「んん”ー。」
蛍は私の声に掠れた声で返事をする。
目は全く開きそうにない…。
「ひぁんッ!?…っ、!?」
背中に急に冷たいものが触れる。
それも地肌に直接…なにかと思えば、
保冷剤顔負け、蛍の手のひらだった。
「ん…?」
私の声に片目だけ開けた蛍…。
よし、まだ覚醒はしていないようだ。
責任取って腹切りする前に離れないと。
「ほら、人の背中で暖を取らない!」
なんとか拘束から離れると、
名残惜しそうに蛍が手を伸ばした…。
全く…本当に困った男だ。
「起きなさいって~」
「…魅香?おはよ…」
ふにゃっと笑った蛍の笑顔に、
完全に胸を撃ち抜かれた…。
「うんっ…おはよっ…!!」