無名ファイル1
覚醒した蛍は寝ぼけていた時に、
何をしたかなんて全く覚えていない。
「魅香さん、おはようございます!
お兄ちゃんと初詣行きますよね?
魅香さんに似合いそうな振袖を、
さっき見つけて…如何ですか?」
楽しそうに私に振袖を見せる。
今日も華美ちゃんはかっわいい…。
流石兄妹だ、朝から二人共可愛い。
「確かに初詣デートって素敵!!
今日は万年筆のインクを買いに、
買い物の予定だったの!」
初詣もいいなぁ…と言うと、
華美ちゃんが首を傾げた。
「元日も営業しているんですかね?」
「え…?」
はっ!!そうだよ…大体のお店は、
三が日に営業しないでしょ!?
結局、初詣デートに変更。
「明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
お餅は何個に致します?魅香さん。」
「蛍さんのお母様!
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
お餅は一つでお願いします。
私にも何かお手伝い出来ることは…」
後ろから肩をポンッと叩かれる。
振り向くと呆れ顔の蛍の姿。
「魅香、そんな気負わなくていい。
女の子大好きなただのオバサンだ。」