無名ファイル1

「ふふっ、可愛い女の子は片っ端から、
抱きしめたいオバサンですね…私。」

上品に口元に手をあてながら笑う、

蛍のお母さんの口からこんな台詞。

目からの情報と耳からの情報が、

あまりにもかけ離れていて…混乱。

「もし魅香さんがよろしければ、
抱きしめてもいいかしら?」

「へ!?ひゃい!!」

思わず裏返る声…蛍のお母さんは、

厳格そうな人に見えて実は結構、

ふわっとした性格の持ち主だった。

「ふふっ、ありがとう。」

ふわっと微笑む蛍のお母さんは、

蛍や華美ちゃんの笑い方と似ていた。

流石親子だな…。

「さぁ、朝食の準備が整いました。
例年よりおせちに凝ってみました!
気兼ねなくお召し上がりください。」

『いただきます。』

重箱に美しく並んでいるおせち。

どれも綺麗で美味しそう…!!

お料理も上手な人なんだな…。

「伊達巻ってこんな味なんですね!
私長い期間オーストリアにいたので、
おせちを食べるのが久々で…!!」

「喜んでもらえて嬉しいです。
よろしければレシピもお教えします。
よくお料理をなさるみたいですし、
魅香さんなら作れると思いますよ。」
< 179 / 200 >

この作品をシェア

pagetop