無名ファイル1
「…まぁ、大まかにこんな感じ。
この間、久々に熱を出してた時、
長々と世間話をして和解した。」
「そっか、話してくれてありがとう…」
だから蛍のお母さんと私が初対面の時、
蛍はお母さんに対して冷たかったんだ。
「丁度いいな。順番来たぞ。」
「え…あぁ、参拝」
参拝を終えた私達は取り敢えず、
おみくじを引いてみることにした。
「せーので結果見よう!」
「…いいよ」
『せぇーのっ』
うげっ!!嘘でしょう…待って。
「いえーい、大吉ィ」
蛍が真顔でピースする…。
蛍のおみくじには基本的にどの運も、
良い事が書かれていて安泰って感じ。
「…凶か、たっかい所に結ぼう」
私のおみくじは大小問わず嘘は厳禁、
勘違いがすれ違いを生む…だそうだ。
「わぁ、不吉…結んでくる」
「肩車…してやろうか?」
くつくつと笑う蛍…おのれッ!!
自分の結果が良いからって!
「取り敢えず結んだし…帰る?
振袖汚したりしたら大変だし」
「あぁ、風も強くなってきたしな。」
人ごみを抜け、帰路につく。
賑やかだった神社を離れると、
いつもよりも周りが閑散として見えた。