無名ファイル1
「あ、私…そろそろお暇します!!
長居してしまい、すみませんでした!」
結局お昼もご馳走になってしまい、
完全に長時間入り浸ってしまっていた。
居心地が良いと帰りがたくなる…。
「え、帰っちゃうんですか…?」
華美ちゃんの子犬のような瞳…。
「冷蔵庫に賞味期限が今日までの、
コンビニスイーツがあるの~」
「あぁっ、コンビニスイーツ!!
それは無駄には出来ませんね…。」
華美ちゃんは少しシュンとして笑った。
うぅっ、浦島太郎もこんな気持ちで、
竜宮城から陸に帰ってきたんだな。
今なら私、あんたの気持ちが分かる!
「では、お邪魔しました」
「魅香を家まで送ってくる…。」
サッとモッズコートを着て靴を履く蛍。
ドアを開けてエスコートしてくれる。
いや、超イケメンだけどさ!!
「良いの?外かなり寒いし暗いよ?」
「だから送って行くんだろ。」
なんて男前な彼氏なんだろう…。
ほら、車道側は絶対譲らないし!!
蛍と私の家は大体一駅分の距離がある。
帰り蛍が一人で夜道を歩くのは心配。
そもそもアイドルだしね…。
「…家まで送ってくれてありがとう!」