無名ファイル1
「はい、どういたしまして。
戸締りはちゃんとするんだぞ。」
ふっと笑う蛍が街灯の光で輝く…。
ただの街灯すらもピンスポに見える。
私はビシッと敬礼してみせた。
「…あら、魅香?」
「あ、百合ネ…ェ!?」
薄暗くて分かりずらいものの、
血痕のついた服を着ている百合ネェ。
隣にいる蛍は可愛い系の女性から、
割と男らしい声が出ている状況に、
混乱している様子だった。
「また喧嘩売られたの?怪我は??」
「怪我なんてしないわよぉ!!
ぜぇんぶ返り血★まだ負けないわ!
…で、そこのイケメンは?ハッ!!
まさか、魅香のボーイフレンド?」
「あ、どうも。夏夜蛍です。」
蛍は少しずつ今の状況に順応していた。
察しの良さは芸能界で極めた技だ。
「あぁんっ♡もう!!返り血さえ、
浴びていなければ、ハグしたのにィ!」
「私の彼氏ゆーとるでしょうが!!」
相変わらず百合ネェはパワフルだ。
「紹介するね、私の従姉妹の百合湊。
…気持ちは乙女、通称百合ネェ。」
「いつもはこんな血生臭くないのよ!
むしろフローラル!!…お風呂入るわ。
邪魔してごめんなさいね?じゃあね!」