無名ファイル1
「HR始めるぞ、席につけ!!」
チビゴリラ先生の声が教室内に響いた。
あたしは机に写真集をしまい頬杖をつく。
「今度行われる体育祭の競技に、
誰がどの種目に出るか決めること!」
一組で優勝総ナメだ!と豪快に笑う先生。
はぁ…気が進まないなぁ…。
取り敢えず目立たない競技にしよ。
「月乃おはよう。体調は大丈夫か?」
噂をすれば…いや、まぁ隣だもんね。
「大丈夫、ご心配なく。」
背後からエミリアちゃんの視線を感じた。
はぁ、朝から居心地悪いなぁ。
早く席替えしたい…知らぬが仏って、
今この瞬間のあたしにぴったりの言葉。
「一緒に、選抜リレー出ないデス?」
HR後、エミリアちゃんに声を掛けられる。
彼女は周りに花が飛んで見える程の、
可愛らしい笑顔をあたしに向けている。
「選抜リレー?」
「そうデース!!月乃サン足が速いの、
ワタクシ知ってるデース!!」
そういえばこの間カフェのお誘いを、
断ってしまったことを思い出した。
てか…あたしの事嫌いじゃないん!?
「…いいよ!!一緒に頑張ろ」
「…!!頑張るデース!」
心からの笑顔に見えた…。