無名ファイル1
ー体育祭ー
「うわ…何それ。」
日差しが照り付けるグラウンド。
椅子の上で体育座りをしているあたし。
麗菜ちゃんが軽蔑の視線を向ける。
「メロン風味パン!」
きゅうり+蜂蜜のパン…うん、まずい!
「普通のメロンパン…なかったの?」
「あったよ!隣に陳列されてたー」
やっぱり気になるじゃん??
本物のメロンパンの隣に偽物があると、
一回は食べてみようと思うよね。
「あなたそんな食べて…大丈夫?」
同じ種目だから気が気じゃないんだ。
アンカーがスッ転んだらせっかく一位で、
バトンを繋いでも無意味だもんね。
「平気でしょ。みんなが期待するのは、
男子のリレーなんだから!!」
一組は優秀な人が集められている。
成績も運動能力も高い…そのため、
どの種目も今のところどれも一位。
特にリレーは最後の種目だから白熱する。
「まぁね…二組の陸上部の男子と、
夏夜君の魅香争奪戦…だったかしら?」
昨日陸上部の男子がわざわざ、
夏夜のもとに宣戦布告に来たのだ…。
夏夜に『月乃は物じゃない。』って、
バッサリ言い切られてたけどね。
てか、争奪戦って…。