無名ファイル1

リレー走者の集合場所に着いた。

「二人とも随分遅かったわね。」

「ひぃっ!!麗菜ちゃ、ごめ!!!」

容赦なく耳をグイ―っと引っ張られた。

「麗菜サンも頑張るデース!!」

「えぇ、そうね。」

さっきキレてたエミリアちゃん…。

幻だったのかと疑うほどいい笑顔。

…あ、あの子もリレー出るんだ。

えっと、真由…さん、二組か。

リレーのメンバーは1クラス三名。

男女別で走ることになっている。

グラウンドを囲う様に全校生徒の視線。

「そろそろね。」

あたし達はスタート位置に入場した。

うちの学校のリレーはハードだ。

二名が500m、アンカーが1kmを、

全力疾走する…第一走者は麗菜ちゃん。

緊張の面持ちだ。

『位置について…ヨーイ…』

『パァン!』

生徒の声援が飛び交う…。

一位を疾走する麗菜ちゃん。

長い黒髪のポニーテールが風で踊る。

小柄だけどフォームが綺麗だから、

無駄がなくて速い。

「エミリアさん!」

「受け取ったデース!!」

エミリアちゃんの走りは軽やか。

まるで羽でも生えているかのようだ。

「魅香サン!!」

「おっけー」
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