無名ファイル1
Part5.想い出とトモダチ
「ヒュッ…ヒュッ…ハァーッ…スー…ハァ…ゲホッ…ケホケホ」
「魅香、血!これで押さえて!!」
あたしは息をするので精一杯で、
心配する麗菜ちゃんにただ頷くばかり。
「魅香サン、保健室行くデース。」
冷静になると傷口が焼けるように、
ジクジクと痛んできた…。
「真由が連れていく!」
後ろから少しトゲのある声が飛んでくる。
振り返ると傷だらけの真由さん。
「あれ…?あたしを下敷きに、
巻き込んだから無傷だったよね?」
真由さんはあたし達にだけ聞こえる、
ドスの効いた声で『はぁ?』と言った。
くどくどと文句を言い始める。
要約すると…あたしがあんなに派手に、
巻き込まれた癖に全速力で走り出すから、
驚いて自分も走ったら脚がもつれて、
一人でまた派手にやらかしたらしい。
…いや、知らんがな。
「だから!ついでに連れてく!!!」
麗菜ちゃんとエミリアちゃんは困惑。
「信用できない、結構よ。」
「ワタクシ達が連れて行くデース。」
『次は閉会式です。』
アナウンスが響き渡る。
「ほーら行かないと♡真由に任せてっ?」
真由さんはにっこり微笑んだ。