無名ファイル1

「待ちなさい!そこの男子ィ!!」

混乱し過ぎて口煩い女子みたいな口調に!

しかもかなり大声出しちゃった…///

てか、見向きもしないんだけど!?

やっぱり名前…えっとぉ。

「えーっと…な、夏夜君!!」

生徒手帳に書いてあった名前を呼ぶと、

男子はピクリと反応し振り返った。

やった、名前の読み方合ってた!

男子は不思議そうにこちらへ近づく。

「ほら、これ…落としたでしょ?」

近づいて見ると思ったよりも高身長で。

うっわ、脚長っ!顔ちっさ!!

「すみません!ありがとうございます。」

わ、声…綺麗じゃん、完璧か?

「あれ…同じ学校の方ですか?」

「んぇ!?あ、本当だ!制服おそろ!!
じゃあ、なんで降りたの?次の駅だよ?」

男子は駅名を確認してスマホと見比べた。

「っ…完全に寝ぼけてた。最悪…。」

男子はガクッと項垂れ、しゃがみ込んだ。

さっきまで見上げていた相手なのに、

小さくなった背中が無性に愛おしい。

「学校まで一緒に歩こっ!」

あたしは男子に手を差し伸べて微笑む。

男子は一瞬目を見開いて固まったが、

すぐに笑顔であたしの手をとった。
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