無名ファイル1
『ギィィィッ!!!』
「お兄ちゃん!玄関の靴…誰の物!?
まさか彼女連れ込んだの!?ねぇ!」
背後の扉が大きな音をたてて開く。
すごい剣幕で怒鳴り込んできた女の子。
私は驚いてびくぅっと肩を震わせた。
蛍はうわぁっと嫌な顔をしている…。
…やだ、振り向くの怖いんだけど。
恐る恐る後ろを確認してみる…。
「華美ちゃん!?」
「え!?魅香さん!!!」
そこにいたのは以前ナンパから助けた、
着物が似合う美人、華美ちゃんの姿!!
「…二人とも知り合いなのか?」
過去1嫌そうな顔をする蛍…。
「なんだぁ!!お兄ちゃんの彼女って、
魅香さんの事ですか…安心しました!」
対して華美ちゃんは嬉しそうな笑顔。
あー、今日も着物が似合ってるなァ…。
私はそんなカオスな状況に、
ただ苦笑いをするばかりだった…。
「…少し席を外す。」
華美ちゃんを交えての雑談の途中、
蛍が不愛想に言い放って部屋を出た…。
「なんか機嫌悪い?」
「ふふっ、お兄ちゃんのヤキモチ、
私初めて見ました。愛されてますね!」
華美ちゃんは閉ざされた扉を見て笑う。
ヤキモチ…?蛍が!?