無名ファイル1
あたしを見下ろすように机の前に、
立つ女の子…窓から吹き抜けた風に、
女の子の長い黒髪が揺らぐ…。
「くしゅっ!!」
「おーおー、大丈夫?麗菜ちゃん。」
この女の子の名は黒崎麗菜ちゃん。
クールビューティーな女の子だ。
まさか同じ学校に通えるとは…!!
「この時期は相変わらずだね…どーぞ!」
「ティッシュありがとう…大丈夫。」
麗菜ちゃんはチーンっと鼻をかんだ。
アレルギー体質なのは変わらないか…。
「幼稚園以来ね、元気だった?」
「うん、今は両親の変な期待もないし、
かなり気が楽!前に比べればねっ!!」
麗菜ちゃんはほんの少し眉をひそめた。
「まぁ、あなたがいいならいいけど。」
「でもよくあたしに気づいたね!!
かなり雰囲気変わったと思うけど…。」
あたしは手櫛で髪を梳かしながら笑う。
麗菜ちゃんは横目で見てそうねと一言。
「でも、今も昔も魅香は魅香よ。」
…今、物凄く胸がぎゅっと熱くなった。
麗菜ちゃんは当たり前の事を言ってる。
そっか、麗菜ちゃんにとってあたしは、
今も昔もちゃんとあたしなんだね…。
「うん、そう…だよねー!!」