御曹司とのかりそめ婚約事情～一夜を共にしたら、溺愛が加速しました～

「それに最近、なんだか体調悪そうに見えるんだけど……」

「え？」

絵里さんにそう指摘されてギクリとする。

確かに、絵里さんが言うようにここ数日頭が痛かったり、急に吐き気がしたりと不調が続いている。それに不調の原因としてひとつ。生理が遅れている。という心当たりもあった。

まさか、ね。

「あまり無理しないでね。春海ちゃん、頑張りすぎちゃうところあるから、辛かったらちゃんと言うのよ？」

「大丈夫です。ほんと、ただのアレルギーなんで……」

私が嘘をついているのがわかったのか、肩を落としてそれ以上なにも尋ねてくることはなかった。絵里さんのそっとしておこうという気遣いに頭が下がる。

自分の席に着いてパソコンの電源を入れる。

仕事は仕事で頑張らないとね、それに少しは気が紛れるかもしれない。

それに、今日は残業しない予定だ。なぜなら、仕事が終わったらどうしてもやらなければならないことがあるからだ。

あの、書類に書かれた筆跡の主に会うために――。