御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
※ ※ ※
「男なんてもう信じない! 恋なんてしない! ベリヒル族のバカヤロー!」
カウンターに突っ伏して、人目を憚らず私の鳴き声がわんわんと店内に響く。
「まぁまぁ、春海ちゃん落ち着いて、というか私もそのベリヒル族なんだけど、さ」
「うぅ、ごめんなさい」
私の名前は高杉春海。至って平凡なOL。二十四歳。
私は今、人生のどん底という絶望に打ちのめされていた。昨夜、初めて付き合った彼氏の浮気現場を目撃するというショッキングな出来事があったからだ。
「ほら、鼻垂れてるわよ」
「……すみません」
差し出されたティッシュでずびーっと鼻をかむと、真っ赤な鼻を擦ってはぁ、とため息をつく。
「少しは落ち着いた?」
「はい、おかげさまで……」
そんなこんなで直属の上司である二階堂絵里奈さん、通称“絵里さん”が一日元気のなかったそんな私を気遣って、ベリーヒルズビレッジのとあるバーに連れ出してくれたのだ。
顔をあげてゴシゴシと目元を拭うと、「大丈夫よ」と背中をさすりながら絵里さんがニコリとした。その優しさにまた涙腺が緩みそうになりつつも、私はだらだらと続きそうな愚痴を飲み込むようにグッとジョッキビールを呷った。
「はぁ、浮気してたなんて……もう最悪です」
鼻にかかった声でグズグズと泣いてる自分が情けない。
そもそも、どうしてこんなことになったかと言うと――。
「男なんてもう信じない! 恋なんてしない! ベリヒル族のバカヤロー!」
カウンターに突っ伏して、人目を憚らず私の鳴き声がわんわんと店内に響く。
「まぁまぁ、春海ちゃん落ち着いて、というか私もそのベリヒル族なんだけど、さ」
「うぅ、ごめんなさい」
私の名前は高杉春海。至って平凡なOL。二十四歳。
私は今、人生のどん底という絶望に打ちのめされていた。昨夜、初めて付き合った彼氏の浮気現場を目撃するというショッキングな出来事があったからだ。
「ほら、鼻垂れてるわよ」
「……すみません」
差し出されたティッシュでずびーっと鼻をかむと、真っ赤な鼻を擦ってはぁ、とため息をつく。
「少しは落ち着いた?」
「はい、おかげさまで……」
そんなこんなで直属の上司である二階堂絵里奈さん、通称“絵里さん”が一日元気のなかったそんな私を気遣って、ベリーヒルズビレッジのとあるバーに連れ出してくれたのだ。
顔をあげてゴシゴシと目元を拭うと、「大丈夫よ」と背中をさすりながら絵里さんがニコリとした。その優しさにまた涙腺が緩みそうになりつつも、私はだらだらと続きそうな愚痴を飲み込むようにグッとジョッキビールを呷った。
「はぁ、浮気してたなんて……もう最悪です」
鼻にかかった声でグズグズと泣いてる自分が情けない。
そもそも、どうしてこんなことになったかと言うと――。