御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
知らず知らずのうちに訝し気な目を向けてしまっていたのか、蓮さんがハッとして笑顔になる。

「俺はパーティーを企画した会社の責任者なんだ。君の勇気ある行動には感服するけど、もう二度と無茶な真似しないと誓ってくれ」

無茶な真似……そっか、そうだよね。

責任者からしてみれば、パーティーで盗難があった上に怪我人まで出たなんて言ったら迷惑な話だよね。

「すみませんでした。ほんと、ご迷惑をおかけして……しかも犯人も取り逃がしてしまって……」

考え無しに行動するからこういうことになる。深く反省。とますますしゅんとなると、蓮さんが静かに首を振った。

「犯人は捕まったよ。君の録った動画が決定的証拠になってね、階段に君のスマホが落ちていたんだ。警察の指示で中のデータを確認させてもらった。すまない……けど、これも全部君のおかげだ」

「えっ、捕まったんですか!? よかった。膝擦り剥いた甲斐がありました」

「まったく君は……」

楽観的にニコリと笑う私の反応が意外だったのか、蓮さんが眉尻をさげて小さく笑った。

「ついでにあの男はベリーヒルズの住人ではなかったんだ。なのにどうやってあの会場に入れたのか気になって調べたら、どうやらあらかじめ受付嬢を手懐けていたみたいだな。セキュリティの甘さのせいで君にも、君の会社にも迷惑をかけてしまった」

そんな、迷惑だなんて……って、えっ!?
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