御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
「でも、あの婚活パーティーはどうしてベリーヒルズビレッジの住人限定だったんですか?」

「あぁ、それなんだが……この企画は父の意向なんだ。ここの住人たちは男女問わず経営者が多い。仕事が充実していて出会いや結婚の機会のない独身男女に、交流の場を提供しようと定期的に開催してるんだ。俺も責任者として時々視察に出向いている」

なるほど。そういうことだったのね……もしかして、パーティーのとき私にいちゃもんつけてきた女の人、蓮さんのこと見て途端に顔色変えたのは、きっとあの有栖川家の有栖川蓮だって気づいたから?

控えおろーう! って感じだったもんね……華々しいオーラ出てたし。

私とあの女性の間にスッと割って入って来たシーンを思い出すだけでゾクゾクする。

話している間にお上品なオードブルが運ばれてきた。新鮮な野菜に囲まれたサーモンのマリネが食欲をそそる。

「そうだったんですね。参加されてる方の会話、チラッと聞こえちゃったんですけど結構仕事の話をしている方が多かった気がします」

「俺も出会いの場というより、結局商談の場になるんじゃないかって父に意見したんだが……近いうちに教育施設を建設する計画を立てるみたいで、出生率を上げるには結婚率をあげなきゃならんとかなんとか言って……って、あ、これって完全に愚痴だな」

ひょいっと肩を竦めて苦笑いすると、私も自然に笑みがこぼれた。
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