御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
そう聞かれて正直迷った。「お金持ちなんですね」とか「御曹司だったんですね」なんて下心見え見えのことなんて言いたくない。生まれながらにして良家の看板を背負うプレッシャーは、きっと彼にしかわからないことだ。場合によっては機嫌を損ねてしまうかもしれない。
「最初に聞いたときは驚きましたけど……あの、有栖川さんじゃなくて今度からも“蓮さん”って呼んでもいいですか? だって、有栖川家だろうが蓮さんは蓮さんじゃないですか」
それを聞いた蓮さんが目を丸くして驚いた顔でピタリと止まる。
わー! さすがに図々しかったかな?
パーティーのときだけなら下の名前で呼んでも許されたかもしれないけど……。
すると、蓮さんの表情がパッと明るくなって嬉しそうに頬を緩ませた。
「ああ、もちろんだ。じゃあ、俺も春海って呼ぶことにする」
は、春海……自分の名前なのに、なんか照れる!
絶叫が頭の中でこだましていると、蓮さんが静かに口を開いた。
「あのとき、俺がもう少し早く気がついて君のところへ駆けつけていたらって、今でも後悔してる。春海って、君の名前を呼ぶことしかできなかった」
あのとき……って、パーティーでのこと?
「最初に聞いたときは驚きましたけど……あの、有栖川さんじゃなくて今度からも“蓮さん”って呼んでもいいですか? だって、有栖川家だろうが蓮さんは蓮さんじゃないですか」
それを聞いた蓮さんが目を丸くして驚いた顔でピタリと止まる。
わー! さすがに図々しかったかな?
パーティーのときだけなら下の名前で呼んでも許されたかもしれないけど……。
すると、蓮さんの表情がパッと明るくなって嬉しそうに頬を緩ませた。
「ああ、もちろんだ。じゃあ、俺も春海って呼ぶことにする」
は、春海……自分の名前なのに、なんか照れる!
絶叫が頭の中でこだましていると、蓮さんが静かに口を開いた。
「あのとき、俺がもう少し早く気がついて君のところへ駆けつけていたらって、今でも後悔してる。春海って、君の名前を呼ぶことしかできなかった」
あのとき……って、パーティーでのこと?