翳踏み【完】
「……信じられないなら、先輩が信じてくれるまで、何度でも言います。すきです。どうしようもなく好きです。先輩になら、どうされたって構いません。同情じゃなくて、すきだ、から」
「菜月」
「私も、すきに、します……。せんぱいが私のことを好きじゃなくても、勝手に家の前で待ち構えて、手を握って、教室まで、お昼を誘いに行きます。今日みたいに、勝手にお弁当まで持ってきて、勝手に横に居座ります。毎日先輩のどこがすきなのか、お話させてください。私の面白くない話を聞いてください」
「せんぱい、すきになってくれなくていいなんて私は絶対に思えません。すきになってください。努力します。せいいっぱいがんばります。信じなくていいなんて、私は絶対思えないです。信じてください。私は先輩が好きで好きで、もう、泣いちゃいそうです。自分勝手で、ごめんなさい、でも、やっぱり、せんぱいがすきなんです」
衝動のままに両手で先輩の頬を掴んだ。揺れる瞳にぶつかる。私の行動に目を見張る先輩を無視した。好きだ、好きだよ。どうか伝わって。
「キスします」
一方的に呟いて、瞼を瞑った。押し付けるようなそれは先輩がしてくれる優しいキスには届きそうにもない。それでもかまわない。私なりの私の好きを届けたいのだ。
「菜月」
「私も、すきに、します……。せんぱいが私のことを好きじゃなくても、勝手に家の前で待ち構えて、手を握って、教室まで、お昼を誘いに行きます。今日みたいに、勝手にお弁当まで持ってきて、勝手に横に居座ります。毎日先輩のどこがすきなのか、お話させてください。私の面白くない話を聞いてください」
「せんぱい、すきになってくれなくていいなんて私は絶対に思えません。すきになってください。努力します。せいいっぱいがんばります。信じなくていいなんて、私は絶対思えないです。信じてください。私は先輩が好きで好きで、もう、泣いちゃいそうです。自分勝手で、ごめんなさい、でも、やっぱり、せんぱいがすきなんです」
衝動のままに両手で先輩の頬を掴んだ。揺れる瞳にぶつかる。私の行動に目を見張る先輩を無視した。好きだ、好きだよ。どうか伝わって。
「キスします」
一方的に呟いて、瞼を瞑った。押し付けるようなそれは先輩がしてくれる優しいキスには届きそうにもない。それでもかまわない。私なりの私の好きを届けたいのだ。