翳踏み【完】
触れた唇を離して、今にも震えそうな唇で呟いた。
「黙っていたら、また勝手にキスしますよ、いいんですか」
先輩がしてくれるみたいに、頭の裏に指先を差し込んだ。いつものように白く光っている髪を撫ぜて、「なつきせんぱい」と呼んだ。
「どうやったら、ぜんぶ、伝わりますか」
ぽろりと睫から零れ落ちた涙に笑いたくなる。小さく微笑んでもう一度「好きです」と言った。もう、これ以外に言いたい言葉がない。言葉にならない。
もう一度、呟こうとして、先輩の瞳からダイヤモンドみたいな滴が落ちたのを見た。
「せんぱ」
「見んな」
思わず乗り出した体を押さえるように瞼を塞がれる。その指先が燃えそうに熱い。なぜかそれだけで心臓が鼓動した。
「こっち、見ないで」
もう一度確認するように囁かれた。その言葉の真剣さに頷いて、私の手を覆っている先輩の手を握った。
「せんぱい、傷つけましたか」
「せんぱい」
「せんぱい、ごめんなさい、嫌でしたか」
「もし、嫌でも……、せんぱいがすきなことを、やめたくないです」
「どうしたら、いいですか」
「黙っていたら、また勝手にキスしますよ、いいんですか」
先輩がしてくれるみたいに、頭の裏に指先を差し込んだ。いつものように白く光っている髪を撫ぜて、「なつきせんぱい」と呼んだ。
「どうやったら、ぜんぶ、伝わりますか」
ぽろりと睫から零れ落ちた涙に笑いたくなる。小さく微笑んでもう一度「好きです」と言った。もう、これ以外に言いたい言葉がない。言葉にならない。
もう一度、呟こうとして、先輩の瞳からダイヤモンドみたいな滴が落ちたのを見た。
「せんぱ」
「見んな」
思わず乗り出した体を押さえるように瞼を塞がれる。その指先が燃えそうに熱い。なぜかそれだけで心臓が鼓動した。
「こっち、見ないで」
もう一度確認するように囁かれた。その言葉の真剣さに頷いて、私の手を覆っている先輩の手を握った。
「せんぱい、傷つけましたか」
「せんぱい」
「せんぱい、ごめんなさい、嫌でしたか」
「もし、嫌でも……、せんぱいがすきなことを、やめたくないです」
「どうしたら、いいですか」