14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~

「俺の事はほっといてもらえないか? 」
「え? 」

「どうせ俺は、兄貴に信頼されていないのは判っている。だから、強いて仲よくしようとも思わない。だから、干渉しないでもらいたい」
「な…なんだよそれ、俺は別に…」

「いいんだ。もう、何も聞きたくない。兄貴は立派な弁護士。俺とは世界が違う」
「愛人…」

「もういいだろう? 俺が何をしていても、誰もに迷惑なんかかけてない。全部、自分の力でやっている。兄貴にだって、何一つ頼る事もない。もう…ほっといてくれ…」


 それだけ言うと、愛人は去って行った。

「愛人…」

 優愛は少し悲しそうな目をしていた。



 双子の兄弟なのに、優愛と愛人は真逆で不仲。
 高校生までは仲が良かったと言われているが、大学生になると喧嘩ばかりで、社会人になるとお互いがもっと距離を置いてしまい今では他人以上に距離が出来てしまった優愛と愛人。


「優愛? どうかしたのか? 」

 萌がやって来た。


「あ…父さん…」
「どうした? 元気ないようだな」

「いや…愛人に会ったから」
「愛人に? 」

「相変わらず、嫌われてるんだな俺って」
「そんなことはないだろう。お前達は兄弟じゃないか」

「愛人はずっと…俺の事、恨んでいると思うよ」
「え? 」

 優愛は苦い笑みを浮かべた。

「俺はずっと、愛人の大切なものばかり奪って来たから…」
「優愛…」
「一生許されないと思うよ。きっと…」


 辛さそうにほほ笑んで、優愛はそのまま去って行った。

 萌はやるせない思いでいっぱいになった。



 
 優愛と愛人。

 仲良しの双子が険悪になったのは、現在の優愛の妻である優樹菜(ゆきな)が原因だと言われている。

 

 それは遠い昔。
 2人が大学生の頃だった。
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