14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~
暫くしてリラが戻ってきた。
シンプルな白いカップに珈琲を入れてきたリラは、そのまま愛人のデスクに置いた。
ん? と、愛人は見上げた。
「副社長も、一息ついて下さい」
それだけ言うと、リラは自分のデスクに戻った。
愛人はじっと珈琲の入ったカップを見ていた。
ボヤっとした視界がハッキリして、リラが持ってきたカップが目に映ると小さく笑った愛人。
デスクに戻ったリラはハッとした。
さっき…そう言えば珈琲を持ってきてもらったんだった。
カップをもって出て行って戻って来たんだから。
珈琲はもう飲んでいるんだった。
いらないよね? 珈琲なんて…。
そう思ったリラだが。
愛人は静かに珈琲を飲んだいた。
「あ…」
珈琲を飲んでいる愛人をリラは驚いて見ていた。
「ん? 」
珈琲を飲みながらリラを見た愛人。
目と目が合うと、リラはサッと視線を反らして仕事をし始めた。
愛人は小さく笑った。
無理して飲んでくれたのかな?
高級ブレンドには到底かなわない珈琲なのに…。
相変わらず優しい人なんだね…。
パソコンを見ながらリラは小さく笑っていた。
定時になると、愛人もリラも仕事を終わらせ退社する。
夕刻時のオフィスビルの下。
竜夜がオフィスビルの下で愛人の帰りを待っていた。
ランドセルを背負って、学校の帰りのままの姿で待っている竜夜。
オフィスビルから出てくる人を見て、愛人がいないか探している竜夜の視界に歩いてくるリラの姿が写った。
「あ! 」
声を上げて、竜夜はリラに駆け寄って行った。