14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~
「お母さん! 」
そう呼んで、竜夜はリラにギュッとしがみついた。
リラは驚いた顔で立ち止まった。
「お母さん! 会いたかったよ、いつ来たの? 」
無邪気な笑顔でリラを見て話しかけてくる竜夜。
「…あなたは…」
リラは竜夜を見ると胸が熱くなり、目が潤んできた…。
「お母さん、僕ずっと待っていたよ。お母さんが来てくれるの」
「私が…判るの? 」
「分かるよ、だってずっと見てたもん。ねぇ、僕ね今お父さんと一緒にいるんだよ」
「お父さん? 」
「うん。ずっとお父さんが僕を育ててくれていたんだよ」
まさか…。
そんな事はありえない。
だってあの時連れて行ったのは…。
「竜夜」
後ろから愛人の呼ぶ声がした。
「お父さん」
竜夜は愛人に駆け寄って行った。
「竜夜、待っててくれたのか? 」
「うん。お父さんと一緒に帰りたかったもん」
「そっか」
よしよしと、愛人は竜夜の頭を撫でた。
その表情は日頃会社では見せない、優しい父親の顔をしている。
リラは竜夜と愛人の様子を見ていた。
「…あの人が…育ててくれていたの? …どうして? 」
少し涙ぐんだ目をしていたリラ。
愛人は立ち止まっているリラに気づいた。
目と目が合いそうになると、リラはそっと視線を反らしてそのまま去って行った。
「お父さん、お母さんがいたよ」
「お母さん? 」
「うん、僕のお母さん。あそこに」
竜夜はリラがいた場所をさしたが、既に去った後だった。
「あれ…いなくなっちゃった…」
愛人は竜夜が指さす方をじっと見てた。