14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~
ビシッ! と、いきなりリラの頬を殴りつけて茂代は去って行った。
殴られた頬に手を当て、リラはじっと下を向いてそのまま佇んでいる…。
そんなリラを見ていた愛人は、何故か自分の頬も痛みを感じていた。
何を考えるのでもなく、リラを見ていたら愛人は自然と歩み寄っていた。
人の気配を感じて、リラはハッと顔を上げた。
顔を上げると、スウェット姿の愛人がいて驚いたリラ。
リラは仕事の格好のままだった。
「笹野さん、どうしたんだ? こんな時間に一人で」
「いえ…ちょっと用がありまして。…でも、もう帰りますから」
俯き加減でそのまま去って行こうとしたリラを、愛人は捕まえた。
「家はどこだ? 」
「え、駅の方です」
「じゃあ、送って行く。こんな夜更けに、女一人歩いていたら危険だ」
「いえ、大丈夫です」
「大丈夫じゃねぇよ! 」
少し強引に愛人はリラの手を引っぱった。
すると、なんだかリラの手がとても熱く感じた愛人は、そのまま額に手を当てた。
「わぁ、すげぇ熱。ずっと、ここに立っていたのか? 」
「いえ…」
と、何かを言いかけたと同時にリラはそのまま倒れこんでしまった。
倒れこむリラを、愛人がそっと受け止めた。
リラはそのまま気を失ってしまった。
ひょいと愛人はリラを抱きかかえ、のままレジデンスに戻って行った…。
フワフワとまるで宙にでも浮いているかのように、リラは心地よさを感じていた。
(…愛しているよ…)
遠くで聞こえる優しい声…。
(…待って下さい! 返して下さい! その子は、私の子供です! )
赤ちゃんを抱いた一人の女が、走って逃げてゆく。
その後ろを追いかけているリラがいた。
リラは追いかけていたが。
女は車に乗って逃走していった。
遠ざかる車を追いかけたリラだが。
スピードの速さに追いつけず、転んでしまった。
転んだ痛みよりも、子供がさらわれたことがショックでリラは動けなくなった…。
ハッと目を覚ましたリラ。
見慣れない天井に、辺りを見渡した。