14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~
リラが見つめる愛人の背中には、大きくもなく小さくもない、綺麗な金色の龍が刻まれていた。
その龍は天高く舞い上がる神々しい神のようにも見える。
愛人は恐る恐るリラに振り返った。
泣いているリラを見ると、愛人も目が潤んできた。
「こんなに綺麗なドラゴン初めて見ました」
泣いているリラを、愛人はそっと抱きしめた。
「…これを見せたのは、あんたが初めてだよ。…」
「私が初めて? 竜夜君にも、見せていないのですか? 」
「見せられないだろう? 子供にこんなの」
「そんなことありません。だって…」
リラもそっとパジャマを脱いだ。
そして背を向けた…。
「え? 」
綺麗な蓮の花の彫り物に、愛人は驚く半面見惚れていた…。
「これ、竜夜君が綺麗だって言ってくれましたよ。とっても似合っているって」
リラの背中の蓮の花。
それを見た愛人は、ぼんやりとリラの後ろに綺麗な女性の姿を見た。
その女性は…あの夢の女性だった…。
「…もしかして…あんた…」
そっと、振り向いたリラはちょっと恥ずかしそうに愛人を見つめた。
「ごめんなさい。引いてしまいました? 女なのに、こんなの背中にあるなんて」
「い、いや。そうじゃない。…」
「私…心から愛した人と、一度だけ結ばれたことがあったんです。その時…子供を授かってしまって。…一人で産んで、育てようと決めましたが。その子は、誘拐されてしまいました…」
「誘拐? 」
「私が悪いのですよ。子供に、一目でいいから心から愛した人がいる街を見せたいと思って連れて来たのですが。ほんの一瞬の隙でした。ちょっと目を離した時に…」
ズキン…。
愛人の胸に痛みが走った。
その痛みは以前も感じたことがある…。
「連れ去られるあの子を必死で追いかけたのですが、追いつけませんでした。…どうすることもできなかったので…ずっと、自分を責めて痛めつける事しか考える事はできませんでした。…背中に彫り物をしたのも。もう一生恋もしない、結婚もしないと決めてした事です。…まさか…こんな風に、見せる日が来るとは思いませんでしたが…」
「…そうだったのか…」
ギュッと、愛人はリラを抱きしめた。