14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~
「すまないな、夕飯前に来てしまって」
「…なに? 家にまで押しかけてくるなんて」
ソファーに座った愛人。
それに合わせて萌もソファーに座った。
「愛人。お前に紹介したい人がいると言ったろ? 」
「ああ、別にいらねぇけど」
「その人は医者だ。有能な外科医で脳外科も担当している。金奈総合病院で勤務していて、最近アメリカから帰国したばかりの人なんだ」
「それがどうかしたのか? 」
「愛人。お前、視力が低下しているんだろう? 」
ギクっとした愛人だが、黙ったまま平然な顔をしていた。
「優愛が原因なのも分かっている」
「違う! そんな事ない! 」
「愛人。もういいんだぞ、一人で全て抱え込まなくても。お前は一人じゃないだろう? 大切な家族がいるじゃないか。竜夜君の為にも、お前が元気で長生きしてほしいと願っているんだ。だから、手術を受けてくれないか? 」
はぁ?
なにを言っているんだ?
愛人は黙ったまま何も答えなかった。
「多分、今までは。どうすることもできないと、医師からも言われてきたのだろう。だが、私の親友は今まで多くの奇跡を起こしてきた。お前の事を話したら、是非手術をさせてほしいと言っていた」
「…いいよ、今更…。手術したって、絶対に良くなる保証はないんだから」
「あきらめていいのか? お前の大切な家族を守らくていいいのか? お前がいなくなれば、竜夜君がどれだけ悲しむと思うんだ? 竜夜君は、お前とは実の子供だろう? 」
なんで知っている?
ちょっと驚いて、愛人は萌を見た。
「言わなくても分かる。竜夜君は、お前の小さい頃にそっくりだ。今朝も、手作りの雑巾を渡してくれたよ。わざわざ、私が来るのを持っていたようだ。それで、今日はどうしてもお前と話がしたかったんだ」
竜夜が…そんな事を…。
何となく胸がじーんとしてきた愛人。
「愛人。お前にも、心から愛している人がいるんだろう? 竜夜君は、その人のとの子供なんだろう? それなら、愛する人の為にも。そして竜夜君の為にも、お前が元気でいる事が必要じゃないか」
「ちょっと…ごめん…」
目頭を押さえて、愛人は洗面所に向かった。
萌は、やれやれとため息をついた。