14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~

 そのまま洗面所にやって来た愛人は、何故か込みあがる想いが溢れ声を押さえて泣いていた…。

 ずっと諦めていたから…。
 闇になる事ばかり考えていたから…。

 今になって期待持たされることを言われると…諦めていた未来を期待してしまう…。

  
 声を押さえて泣いている愛人の傍に、リラがやって来た。

「愛人さん…」

 そっと、背中に抱き着いてきたリラ。
 そのぬくもりが心地よくて、愛人はリラをギュッと抱きしめた。

「愛人さん…今までずっと、我慢してきたのですよね? 思いきり泣いて、終わらせませんか? 」
「…ああ…そうだな…」

 涙がいっぱいの目で、愛人はリラを見つめた。

「こんな姿見せられるの、あんただけだから」
「え? そうなんですか? 」

 ヨシヨシ、と愛人の頭を撫でるリラ。

「おい、子ども扱いするな! 」
「え? だって可愛いですから」

 頭を撫でられ頬を赤くしている愛人は、まるで可愛い子供のように見える。


「お父さん」

 竜夜がやって来た。

「あれ? お父さん、泣いていたの? 」
「あ、ああ。ちょっとな」

「ふーん。それで、お姉ちゃんが慰めていたんだ」
「い、いや。そうじゃない…」

 愛人とリラを見て、竜夜はクスッと笑った。


「そうだ。お爺ちゃん来ているんでしょう? 」
「ああ」

「じゃあ、夕飯一緒に食べてもらったら? 今日は僕が作ったカレーだから、沢山あるし」

 愛人はリラを見た。


「あ、私外に行きますから。ゆっくり、食べて下さい」
「なんで? あんたも一緒に食べればいいじゃないか」

「いえ、私がいると。社長が、驚いてしまいますから」
「そんな事ない。ちゃんと、紹介するから。父さんに」

「何を言っているんですか? そんなことしたら大変ですよ」
「何が大変なんだ? 隠す事じゃないだろう? 」


 2人がもめていると…。

「どうしたんだ? 」


 萌がやって来た。

「あ…」

 急に現れた萌に、リラは驚いてサッと愛人の後ろに隠れた。

 キョンとした萌だったが、すぐさまニコっと笑った。
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