14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~
深夜のオフィスビルはとても静かで、夜勤体制で稼働している事務所以外はみんな電気が消えて真っ暗である。
ヘリポートへは、最上階展望台からエレベーターで昇るようになっている。
こんな夜更けにヘリポートに行く人はいないが、エレベーターは動いていた。
真っ暗なヘリポート。
隅についている非常灯だけが灯りの代わりになる。
リラはヘリポートにくると、満天の星空を見上げた。
最上階のヘリポートから見える星空は、まるでプラネタリウムのように綺麗に輝いている。
「待っていたわ、笹野さん」
非常灯の灯りの隙間から、茂代が現れた。
茂代の隣には、ガタイのいいヤクザ風の派手なシャツを着た男が一人いる。
その男の手には拳銃が持たれていた。
その様子から、リラは茂代が何がしたいのか察した。
「笹野さん、さんざん私の邪魔をしてくれたわね。あんたを陥れようとして、偽造メールをばらまいたのにいつの間にか消されていた。誹謗記事を作ったのに、それもすり替えられていた。あんたが邪魔をして、そう仕向けたんでしょう?」
「何のことですか? 全く心当たりがありません」
「もういいわ、笹野さん。あんたには、消えてもらうわ。私を陥れようとした罪を背負ってもらって」
茂代が合図すると、男はリラに拳銃を向けた。
「あんたが邪魔! あんたが副社長の秘書になんかなるから、私があの人に近づけないの! 死んで! 」
ズキューン!
銃声が響いた。
と…
パッ! と、七色の光が放たれ、玉が転がる音がした。
「な、なに? 今の」
男はもう一度銃を撃った。
しかしまた七色の光が放たれ球が転がった…。
「なんなの? 」
驚いている茂代を見て、リラはクスッと笑た。
「拳銃なんて、そんな古いもので人を殺しているの? 」
「なに? 」
「私にはその銃の玉、スローモーションで見えるわ」
シュン!
一瞬のように茂代の足元に何かの光が落ちてきた。
その光は、溶岩のように足元を溶かしていた。