14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~
「私のお父さん。宇宙で一番の勇者なの」
「勇者? 」
「そう。まぁ、地球で言えば歴史に名を残している英雄や開発者なんかがいるでしょう? あの人達はみーんな、私のお父さんが育てた弟子達の意志を継いでこの地球に転生してきた人達なの。遠い昔の日本で言えば、お侍さんもそうよ。はるか昔、私のお父さんが剣術を教えて、その意志を受け継いだ人達が転生してきて名を残すお侍さんになっているの」
茂代は何を言っているのかさっぱり分からない顔をしている。
「簡単に言うとね。この地球上のあらゆる攻撃も、武器も。ぜーんぶ、私のお父さんが開発したものを使っているだけ。だから、ちょっと古いの。拳銃のスピードなんて、赤ちゃんがハイハイしているのと同じくらいに見えるわ」
「あんた正気? 勇者だとか、わけわかんない事。まるでゲームの世界じゃない! そんな事、あるわけがないでしょう? 」
「ゲーム? そのゲームが出来上がったのも、実際に経験したことを魂が覚えているからよ。そうじゃなければ、何もイメージもアイディアも降りてこないわ。ただの空白の経験で、物語が生まれると思う? 」
まるで苦虫でも噛んだかのように、茂代は何も言えない顔をしていた…。
「ねぇ、貴女が持っている母子手帳を見せてもらえる? 」
「はぁ? なにを言っているの? 」
「その母子手帳は…偽物だから…」
ギュッとバッグを握りしめ、茂代は黙ったまま視線を反らした。
「やっと見つけたわ。8年前、私の子供を誘拐した人を」
「誘拐? 何を言っているの? 私は、そんな事していないわ! 」
「じゃあ、母子手帳を見せてもらえる? それを見れば全て判る事だから」
「なんで、あんたなんかに…」
「貴女はその手帳が証拠で、竜夜君は自分が産んだ子供だと言ったわ。それなら見せれる筈よ。その手帳には、真実が刻まれている筈だから」
茂代はバッグを抱きしめた…。
「あの子は…竜夜君は私の子供よ。…8年前に私が産んだ子供よ! 私が…副社長と愛し合った証よ! 誰にも渡さない! 」
バッグを抱きしめもがいている茂代はとても哀れで。
報われない想いを、どうにかして引き止めたいだけのように見える。
リラは懐から手帳を取り出した。