14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~
「分かった、じゃあそうするよ。笹野さんは、お前の秘書としてお願いする」
「ふーん。じゃあさっそくなんだけど、デスクの上の書類片付けてもらえる? ファイルは全部、棚にあるから探してくれ」
判りました…と、リラは頭を下げてデスクに向かい書類を手に取って片付け始めた。
萌は驚いていたが、やれやれとちょっと溜息をついて副社長室を出て行った。
リラは書類をスラスラとファイルに挟んでゆく。
特に説明する事もなく、間違える事もなくファイリングしてゆくリラの姿に、愛人はちょっと驚いていた。
「それ終わったら、今度はこの資料をまとめてほしい。明日の会議で使うものだ」
分厚い書類を渡され、受け取ったリラ。
「畏まりました。こちらのパソコンを使って、宜しいですか? 」
とても澄んだ綺麗な声で言われて、愛人は何となくリラに見惚れた。
「あ、ああ…パスワードは貼ってある」
「はい…」
愛人のデスクの隣の席に座り、パソコンを立ち上げたリラ。
スラスラとパスワードを打ち込んで、書類を手に資料を作り始めるリラを横目でチラッと見ていた愛人。
俺…なんで秘書がいるなんで言ってしまったんだろう…。
確かに最近に仕事量も増えてきて、雑用が面倒だって思ていたけど。
隣にいるリラをまたチラッと見た愛人。
資料を作っているリラは真剣な顔をしている。
だがその顔はどこか竜夜と似ていた。
キリっとした切れ長の目は、そっくりである。
愛人はまだそれに気づいていない。
「できました。どうしたら、宜しいですか? 」
早いなぁ…。
愛人が時計を見ると、時刻は11時を回っていた。
資料を作り始めたのは確か10時を回る頃だった。
一時間も経過しないうちにやりこなしてしまうとは…。
「共有ファイルに保存しておいてくれ」
シレっとして愛人が言った。
「畏まりました。では、本日の日付と会議資料と名前を付けて保存しておきますのでご確認下さい」
ファイルを保存したリラ。
「次、これ…」
パソコンを見ながら愛人は別の資料を渡した。
「これもまとめておいてくれ。お昼までにやればいい」
「畏まりました」
静かに仕事を始めるリラ。
このようにして愛人は副社長になって、初めて秘書を雇うよになった。