14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~

 お昼になると、リラは外で食事をすると言ってオフィスビルを出て行った。

 
 歩いているリラを、通り行く男性も女性も振り向いて見ている。


「あの人誰? 」
「モデルさん? 」
「女優? 」

「綺麗な人ね」
「あんな人いた? 」
「どこの会社? それとも、どこかの令嬢か? 」


 振り向く人達の声を気にすることなく、リラは歩いて行った。

「ん? 」

 オフィスビルから出てきたリラを見て足を止めたのは、愛人の兄である優愛だった。
 法律事務を経営するやり手の弁護士である優愛は、愛人に似ているがちょっと厳しそうな顔をしている。
 メガネをかけてインテリーには見えるが、爽やかなイケメン。
 スラっとした長身で、ブルー系のスーツがとても似合っている。


 リラは優愛を気に留めず歩いて行った。


「あの人…竜夜と似ている…。誰なんだ? 」

 ボソっと呟いた優愛。



 
 少しして愛人がビルから出てきた。


「おい、愛人」

 優愛が声をかけると、愛人はちょっと怪訝そうな目をして優愛を見た。

「兄貴…なに? 」
「いや、今さぁ。すげぇ美人が通り過ぎたんだが、竜夜に似ていたんだ」
「竜夜に? 」
「ああ、目元なんてそっくりでさぁ」
「ふーん」

 興味なさそうに返事をする愛人を、優愛はじーっと見つめた。

「お前、竜夜の母親マジでしらないのか? 」
 
 はぁ? と、目を座らせた愛人。

「お前とは実の親子なんだろう? 竜夜は。だったら、母親に心当たりねぇの? 」
「さぁ…」

「お前、昔から遊んでるから。覚えていない女も、いるんじゃねぇ? 」

 呆れたように溜息をついた愛人は、そのまま歩き出した。

「おい、待てよ」


 愛人を追いかけた優愛。


「なぁ、お前に聞きたいことがあるんだが」
「…話しかけないでくれないか? 」
「はぁ? なんで」
「兄貴と喋りたくないんだ」
「なんだよ、その態度! 」


 ピタッと足を止めた愛人。
 それに合わせて優愛も足をとめ立ち止まった。
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