14日間の契約結婚~俺様御曹司の宇宙最強の恋物語~

 
 1年後。

 再びベリーヒルズビレッジに春がやって来た。
 桜は舞い散り暖かい日差しが心地いい。

 あれから寒い冬の1月に、愛人とリラの第二子…そして第三子が産まれた。
 予想通りの双子の誕生だった。

 男の子には学(まなぶ)女の子には鈴(すず)と名付けられた。
 特別な意味はないが、ただの直感でつけられた名前。

 愛人とリラを半分づつにしたような、可愛い赤ちゃんに竜夜も大喜びしている。

 3人のお母さんになって、リラはますます忙しくなった。


 愛人はこの春を機に社長に就任した。
 萌は会長になり主に相談役に徹している。
 副社長に空席が出来てしまったが、竜夜が大きくなるまで空席でいいと愛人が言っている。

 
 
 今日は日曜日。
 家族が増えたことから、愛人は4人で家族写真を撮る事にした。
 フォトスタジオは、オフィスビルのホテルにあるフォトスタジオ。


 ここには愛人とリラが結婚式を挙げたときの記念写真が今でも飾ってある。
 家族で写した写真も飾ってあり、見に来るお客さんがティンケルを見ると「なんだかゲームに出てくる、勇者みたいな人」と言っているそうだ。

 

「はい、笑って~」

 カメラマンが、学と鈴をあやすために、ぬいぐるみを見せている。

 いい感じて笑っている学と鈴は、3か月を過ぎてもうすぐ4ヶ月に入る。
 顔立ちがハッキリしていて、散歩をしていると通り過ぎる人達が覗き込んで話しかけてくるくらいだ。



 パシャッ。
 無事に家族写真撮影に成功。

 
 あのシレっとしていた愛人は、まるで別人のように微笑まし表情になり、竜夜は逆にちょっと凛々しくなった。
 リラは幸せいっぱいの優しい表情で、すっかり地球人に馴染んでいる。


 1年経過して。
 すっかり世界が変わってしまい、明るい未来を手に入れた愛人とリラ。



 写真館を後にして。

 愛人達は心地よい日差しの中、ベリーヒルズビレッジの中をベビカーを押しながら散歩していた。
 竜夜がベビーカーを押してくれて、学と鈴を見てくれている。

 竜夜はこの1年で随分身長が伸びて、周りの子より大きくて、現在小学校3年生なのに140cmまで伸びている。
 頼りがいのあるお兄ちゃんに成長してくれた。


 竜夜がベビーカーを押してくれている事から、愛人はリラと並んで歩いていた。

 さりげなく、ギュッとリラの手を握った愛人。
 久しぶりに手を握られて、リラはちょっとドキッとした。

「…ベルリラ。…俺と出会ってくれて、本当に有難う」
「いやだ。改まって、どうしたの? 」

「今の俺がいるのは、ベルリラのおかげだって改めて思ったから」
「そんな事ないです。私は、愛人さんがいたから…こうして、地球人になれたのですから…」

「俺、きっと宇宙で最強の恋をしたんだと思う。俺以上の恋をする人は、きっと地球にはいないだろうな」
「そうですね。私も、宇宙で一番の幸せ者です」

 握っている手をギュッと握りしめ、そっと寄り添う愛人とリラ。
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