極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい～契約を破ったら即離婚～
「でも、好きだ愛してるという彼の目が、私を全く見ていないのはわかっていました。
私だけじゃなくきっと、同じように彼が抱くすべての女性を彼は見ていなかった」

どこか遠くを見て話す彼女を見ていたら、腹の中の火は鎮火していった。

「でも、あなたを見る彼の目は違う。
彼があんなにも熱い目ができるだなんて知りませんでした。
彼にあんな顔をさせるのはあなただけです」

ふふっ、と小さく、淋しそうに彼女が笑う。
それにほっとしている私は、性格が悪い。

「だから安心していいですよ。
……って、私が言うことじゃないですが」

そう言った彼女の顔は晴れ晴れとしていた。

「なんの話をしていたんだ？」

戻ってきた古渡さんが私の隣に座り、さりげなく腰を抱く。

「別に、女同士の話ですよ」

「はい、たいしたことは」

リノアさんから視線を送られ、頷き返して話をあわせた。

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