極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「ふーん、そうか。
……リノア、澪音は可愛いから作りがいがあるだろ?」

「ええ、それはもう」

古渡さんは無邪気に話しかけているが、彼女の気持ちに気づいているのだろうか。
彼女だけだけじゃない、その他多くの女性たちの気持ちに。



七月に入ったその日、私は休みだったが古渡さんは仕事だった。

「ひさしぶりにひとり……」

ぼーっとリビングでお茶を飲みながら、ここってこんなに広かったっけ?
なんて考えて苦笑い。
だって休みの日はなにかと、古渡さんは私にかまいたがるから。

フランス語学習を兼ねて、字幕無しでフランス映画を観る。
朝が遅かった分、サンドイッチにスコーン、ケーキとアフタヌーン形式で少し重めのおやつを取っている最中に、園原さんから意外な声をかけられた。

「奥様にお客様がおみえとのことなんですが」

「……お客?」

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