極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい～契約を破ったら即離婚～

「お帰りなさいませ、奥様」

ドアを開けたら園原さんが立っていた。
彼女の裕一郎さんを見る目は、完全に不審者のそれだ。

「昔、お世話になった、橋倉裕一郎さん。
裕一郎さん、こちら、……お手伝いさんの、園原さん」

使用人、は言いにくかった。
古渡さんは自然に言うけれど。
メイドも少し考え、妥当なところでお手伝いさんで手を打つ。

「使用人の園原です。
……どうぞ」

そつなくスリッパを出して勧めてくれたが、彼女らしくなくどこか険がある。
しかもことさら、〝使用人〟だと強調された。

「ええっ、と。
……おじゃま、します」

若干の戸惑いを隠しきれずに裕一郎さんは家に上がった。

「それにしても立派なところに住んでるんだね、澪音。
さすが、古渡の奥様というか」

ソファーに座りながら、裕一郎さんがあたりをきょろきょろと見渡す。