極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
けれどそれ以上に、自分よりも父親の幸せを願う澪音がいじらしかった。
一度は反対されて諦めた夢を、再び追っているのも尊敬できる。
俺から見て澪音は全部、眩しいものでできていた。

「……ん」

澪音が僅かに声を漏らし寝返りを打ったので、頬をつつくのはやめた。
調子に乗ってやり過ぎて、起こしてしまっては本末転倒だからな。
携帯を取りだし、寝顔を撮る。

「今日も可愛い澪音の寝顔、ゲット」

携帯の中はいつのまにか、澪音の寝顔画像でいっぱいになっていた。
疲れているときなど、それを見るだけで元気が出るから不思議だ。

澪音と会うと何故か落ち着かない。
そんな、準備期間の半年を過ごした。
その半年も打ち合わせのときしか顔をあわせなかったので、気のせいだと片付けていた。
しかし、結婚式の夜。

『バカ、離せ!』

迫ると、喜ぶどころか暴れたうえに攻撃まで仕掛けてくる澪音を見ていたら、いままで自分がやっていたことが急に馬鹿らしくなった。
それと同時に、もっと澪音を知りたくなった。

もっと、全部。
どんな小さなことでもすべて、澪音を俺のものにしたい。

ああ、神様。
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